大腸内視鏡検査後の過ごし方は?食事・運動・経過観察の注意点を紹介

大腸内視鏡検査では、腸管内の観察に加え、必要に応じて組織採取やポリープの切除が行われることがあります。切除を伴う検査の後は、腸管に過度な負担をかけない生活を心がけるとともに、次回受診までの経過を観察することが重要です。
この記事では、大腸内視鏡検査後の一般的な過ごし方や注意点について解説します。大腸内視鏡検査を初めて受ける方や、検査後に日常生活へ戻るまでの目安を知りたい方は、参考にしてください。
大腸内視鏡検査後の過ごし方

大腸内視鏡検査後の主な注意点は、以下のとおりです。
- 消化管に負担のかかりにくい食事を選ぶ
- アルコールの摂取を控える
- 運動や筋トレは避ける
- 入浴方法に注意する
- 長距離の移動は可能な範囲で控える
- 当日は自転車や自動車の運転をしない
それぞれについて解説します。
消化管に負担のかかりにくい食事を選ぶ
検査後は、腸管内が洗浄され、刺激を受けやすい状態になっています。そのため、消化に配慮した食事を心がけることが望まれます。特に、組織採取やポリープ切除を行った場合は、腸管内に小さな傷ができている可能性があるため、刺激となる食べ物や嗜好品は控えるようにしましょう。
観察のみの場合、食事制限が設けられないケースもありますが、辛いものや脂質の多い食事、食物繊維を多く含む食品は避け、消化の良い食事を選ぶと安心です。
アルコールの摂取を控える
観察のみの場合でも、少なくとも検査当日の飲酒は控えることが勧められます。組織採取やポリープ切除を行った場合は、医師から指示があるまでアルコールの摂取を控えてください。
鎮静剤を使用した場合、アルコールによって眠気やふらつきなどの副作用が強く出る可能性があります。また、体力回復や傷の治癒に影響する可能性もあるため注意が必要です。
運動や筋トレは避ける
検査時に鎮静剤を使用した場合や、ポリープ切除を行った場合は、運動や筋力トレーニングは控えるのが一般的です。鎮静剤の影響が残っている間は、判断力や反射が低下する可能性があります。また、腹圧がかかる動作は、切除部位の回復に影響することがあります。安全のため、検査当日は軽い運動であっても避け、できるだけ安静に過ごしましょう。
入浴方法に注意する
検査後は入浴方法にも注意が必要です。組織採取やポリープ切除を行った場合は、当日はシャワーで済ませるよう指示されることがあります。熱い湯船への入浴や長時間の入浴、サウナなどは、切除部位からの出血リスクを高める可能性があるため、控えましょう。また、鎮静剤を使用した場合は、入浴中の眠気や立ちくらみによる転倒にも注意が必要です。
長距離の移動は可能な範囲で控える
ポリープ切除後は、出血などの異常が生じた際に速やかに対応できるよう、出張や旅行などの長距離移動は控えるよう案内されることがあります。
目安の期間は患者様の状態や医療機関の方針によって異なりますが、1〜2週間程度の安静が勧められるケースがあります。特に飛行機は気圧変化により腹圧がかかる可能性があるため、注意が必要です。
当日は自転車や自動車の運転をしない
鎮静剤を使用した検査後は、自転車や自動車、バイクなどの運転は控えてください。
鎮静剤の影響が残っていると、集中力や判断力が低下し、事故につながるおそれがあります。検査当日は、家族や知人による送迎や、公共交通機関・タクシーの利用を検討しましょう。
大腸内視鏡の検査・治療ごとの過ごし方

検査後はクリニック内で一定時間休憩し、その後は医師の指示に従って過ごしてください。以下は一般的な目安です。
観察のみの場合
観察のみの場合、鎮静剤を使用していなければ比較的早期に食事を再開できることがあります。鎮静剤を使用した場合は、1〜2時間程度の安静後に再開するのが一般的です。最初は水分から摂取し、体調を確認しながら通常の食事や活動に戻しましょう。検査当日の刺激物やアルコールは控えてください。
組織採取を行った場合
組織採取を行った場合、当日は刺激物、アルコール、コーヒーなどを控え、入浴はシャワーのみとするよう指示されることがあります。翌日以降、通常の生活に戻れるケースもありますが、具体的な注意点は受診時に確認しましょう。血便や腹痛など、気になる症状がある場合は早めに相談してください。
大腸ポリープを切除した場合
大腸ポリープを切除した当日は消化の良い食事を中心にし、刺激物やアルコール、コーヒーなどは医師の指示があるまで控えてください。休薬していた薬がある場合は、再開時期について確認が必要です。
運動や腹圧がかかる動作は、出血リスクを考慮し、1週間程度控えるよう案内されることがあります。少量の出血や軽い腹痛がみられることもありますが、症状が強い場合や持続する場合は医療機関を受診してください。
大腸ポリープ切除後の食事について

ここでは、大腸ポリープ切除後の食事の目安を紹介します。
食べても差し支えないとされることが多い食品
大腸ポリープを切除した後は、以下の食べ物を中心に食事を摂りましょう。
- おかゆ、雑炊、うどん、食パン
- 軟らかく調理した大根・人参・じゃがいも・かぼちゃ(皮なし)
- バナナ、りんご(皮なし)
- 鶏むね肉・ささみ・白身魚・豆腐・卵豆腐
- ゼリー、プリン、ヨーグルト、ポタージュスープ
食材は軟らかく調理し、脂質の少ないものを選ぶとよいでしょう。回復には栄養も必要なため、量に注意しながらバランスの良い食事を心がけます。
控えたほうがよい食品
以下の食べ物は、ポリープ切除後の腸に負担をかけるため避けるのが望ましいです。
- 玄米、全粒粉パン、ラーメン、パスタ
- 香辛料の多い料理(カレー、麻婆豆腐など)
- 揚げ物、脂身の多い肉、乳脂肪分の多い食品
- 生野菜、きのこ、海藻、根菜類
- アルコール、コーヒー、炭酸飲料
腸管への刺激や負担を避けるため、医師の指示があるまでは控えましょう。
大腸ポリープ切除後の運動について

ここからは、大腸ポリープを切除した後にしても大丈夫な運動と避けたほうがいい運動の例を紹介します。運動再開の時期は、治療内容や経過によって異なるため、医師の指示に従うことが重要です。
行っても問題ない可能性がある運動
大腸ポリープを切除した後でも、以下のような軽い運動であれば行っても問題ない可能性があります。
- 軽い散歩
- 腹圧のかからないストレッチ
- デスクワークなどの軽作業
ただし、高所作業や長時間の立ち仕事は、当日は避けましょう。家事・育児に関しては特別な制限が設けられないことが多いですが、長時間の立ち仕事は避け、普段よりもお腹に負荷がかからないように注意してください。
控えたほうがよい運動
以下のような汗をかくような激しい運動や重い荷物を持つ仕事は腹圧がかかり、合併症のリスクを高めるため、避けてください。
- ジョギング、筋力トレーニング
- テニス、ゴルフ、水泳、ヨガ
- 重い荷物を扱う作業
性行為についても、1〜2週間程度控えるよう案内されることがあります。再開時期は医師と相談してください。
大腸ポリープ切除後の経過観察について

ここからは、大腸ポリープ切除後の経過観察について紹介します。
切除部位の経過観察
切除後数日から1週間程度は、便の状態や腹部症状に注意が必要です。異常がみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。組織検査を行った場合は、結果説明のための再受診が必要になります。
ポリープの状態ごとの再検査目安
再検査の時期は、ポリープの大きさや数、病理結果などにより異なります。
- ポリープが少数・良性の場合:3年後
- 再発リスクが中等度〜高い場合:1〜2年後
- 高リスク所見がある場合:半年〜1年以内
- 分割切除・不完全切除の場合:3か月〜半年後
大腸がんのリスクが高いほど、短い期間での再検査や定期検査が必要です。検査や治療を行い、リスクが低くなってきたら検査頻度を減らせる可能性があるため、医師の指示に従って定期検診を受けるのが推奨されます。大腸ポリープががん化するのには5〜10年ほどかかるとされ、定期的に検査を受けていれば早期発見の可能性が高まります。
ただし進行速度には個人差があり、深い層へ浸潤したり、他の臓器へ転移したりすると急激に進行する恐れがあるため、早期発見が非常に重要です。経過に注意しながら、積極的に定期検査を受けましょう。定期的な検査の必要性や間隔については、医師の説明をもとに判断してください。
大腸ポリープ切除後に受診を検討すべき症状

以下の症状がみられる場合は、速やかに医療機関へ連絡・受診してください。これらは合併症の可能性があるため、自己判断せず受診することが大切です。
- 繰り返す大量の出血
- 冷や汗を伴う強い腹痛
- 発熱や嘔吐
それぞれの症状について説明します。
繰り返す大量の出血
大腸ポリープを切除した後の出血は、後出血の恐れがあります。後出血とは、一度止血した部分から再び出血がみられる状態で、治療から時間が経過した後に出血するケースもあります。以下のような出血がみられる場合は注意が必要です。
- 便意がありトイレに行ったら、排便がないのに大量の血が出た
- 便器が真っ赤になるほどの出血を繰り返す
- レバー状の血塊が出た
主な原因は、腹圧や血圧の上昇によるポリープ切除後の傷口からの再出血です。少量の出血であれば一時的なものである可能性が高いですが、これらの大量出血がみられた場合は曜日・昼夜を問わず医療機関を受診してください。
冷や汗を伴う強い腹痛
大腸ポリープを切除した後に、冷や汗をかくほどの激しい腹痛がみられる場合は、穿孔の恐れがあります。穿孔は大腸に穴が開いた状態で、大腸ポリープや大腸がんなどを切除した際に稀に起こりうる合併症のひとつです。
治療中の穿孔はその場で塞ぐ処置が行われますが、検査後に時間が経過してから発生する遅発性穿孔のリスクもあるため、強い腹痛は我慢せず、すぐに医療機関を受診しましょう。
発熱や嘔吐
大腸ポリープ切除後に発熱や嘔吐がみられる場合、穿孔による腹膜炎を引き起こしている可能性があります。腹膜炎は、腸管の内容物(液体や便など)が穿孔によってできた穴から腹膜内に漏れ出して炎症を引き起こす疾患です。
腹膜炎が生じると、腹膜内で細菌感染が起こることで発熱したり、吐き気・嘔吐などの症状がみられたりする可能性があります。腹膜炎を放置すると、細菌が血管内に侵入して全身に広がり、命に関わる危険があるため、一刻も早い受診が必要です。
大腸内視鏡検査で穿孔・腹膜炎が起こるケースは極めて稀ですが、観察のみの場合よりもポリープや大腸がんの切除を行ったほうがリスクが高まります。合併症のリスクや緊急治療が必要になる点も考慮し、信頼できるクリニックを選択することが大切です。
まとめ
大腸内視鏡検査後は、検査内容に応じて腸に配慮した生活を送ることが重要です。観察のみの場合でも、腸管がデリケートな状態であることを踏まえ、無理のない食事や行動を心がけましょう。ポリープ切除などの処置を行った場合は、医師の指示を確認し、安静を保ちながら経過を観察してください。
横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニックでは、内視鏡検査に関するご相談を受け付けています。検査や通院について不明点がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
記事監修者
横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック
院長・医学博士
久行 友和

経歴
- 2003年3月
昭和大学医学部卒業
その後昭和大学横浜市北部病院消化器センターとその関連病院勤務 - 2015年11月
昭和大学横浜市北部病院消化器センター 講師 - 2022年4月
昭和大学横浜市北部病院 人間ドック室 室長兼任 - 2023年11月
横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック 院長
資格
- 日本消化器内視鏡学会 学術評議員
- 日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
- 日本消化器内視鏡学会 指導医
- 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
- 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
- 日本内科学会 認定医
- 日本消化管学会認定 消化管専門医・指導医
- 日本医師会 認定産業医
- 日本大腸検査学会 評議員