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内視鏡と胃カメラの違いは?特徴や目的、検査の手順などを紹介

2026.03.12

内視鏡は、スコープを消化管内に挿入し、モニターで内部の様子をリアルタイムで観察するための医療機器です。胃カメラは内視鏡の一種で、そのほかにも大腸カメラなどがあります。

この記事では、主な内視鏡である胃カメラと大腸カメラの違いについて紹介します。調べられる疾患の種類や、検査が検討されることの多い方の特徴についても解説するため、内視鏡検査を受けたことがない方は参考にしてみてください。

内視鏡・胃カメラとは?

内視鏡検査に使用されるスコープ

内視鏡は、先端にカメラや照明が搭載された細長いスコープを体内に挿入し、消化管の内壁を観察する医療機器です。開発当初の胃カメラは、現在のようにモニターで観察する方式ではなく、撮影した写真を現像して診断に用いられていました。

内視鏡は胃カメラよりも後に普及した技術で、両者は厳密には異なる機器です。ただし現在では、「胃カメラ」「大腸カメラ」という言葉が、内視鏡検査の通称として使われることが一般的です。ここからは、胃カメラ・大腸カメラに加え、その他の内視鏡検査について紹介します。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、上部消化管の観察や、必要に応じて組織採取などを行う検査です。鼻から挿入する経鼻内視鏡と、口から挿入する経口内視鏡の2種類があり、スコープの太さや検査時の感じ方に違いがあります。

一般的には経口内視鏡のほうが高画質とされていますが、近年は技術の進歩により経鼻内視鏡の画質も向上しています。胃カメラでは、検査中に発見されたポリープや早期胃がんについて、病変の状態に応じて切除が行われる場合があります。

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)は、下部消化管の観察や、必要に応じた組織採取などを行う検査です。ポリープや早期の大腸がんについては、病変の状態に応じて切除や生検が行われることがあります。肛門からスコープを挿入し、腸の奥まで進める過程で、腸壁が引き伸ばされることで痛みや違和感を覚える方もいます。

胃や大腸のがんは初期には自覚症状が出にくいことが多いため、必要に応じて内視鏡検査による確認が行われます。

その他の内視鏡検査

胃カメラ・大腸カメラ以外の内視鏡検査は、これらの検査では観察が難しい部位を評価する目的で使用されます。

小腸内視鏡検査では、カプセル内視鏡やバルーン内視鏡を用いて、小腸内の状態を直接観察します。これらの検査は、ポリープや潰瘍などの病変が疑われる場合に、医師の判断で実施されます。

胃カメラと大腸カメラの違い

胃カメラと大腸カメラでは、観察できる部位や検査方法、検査に伴う負担などに違いがあります。ここからは、それぞれの違いについて詳しく解説します。

観察範囲

胃カメラは喉から十二指腸の途中まで、大腸カメラは盲腸から肛門までを観察します。

内視鏡には、消化管を炭酸ガスで膨らませたり、水で出血や粘液、便などの付着物を洗い流したりして、観察しやすくする機能が備わっています。小腸は通常の内視鏡では届きにくいため、必要に応じてカプセル内視鏡やバルーン内視鏡などが用いられます。

発見できる疾患

内視鏡検査では、がんやポリープをはじめ、炎症や潰瘍などの有無を確認します。

機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などは、器質的な異常が確認されない場合に診断される疾患であり、診断にあたっては他の疾患を除外する目的で内視鏡検査が行われることがあります。消化管の部位によって起こりやすい疾患が異なるため、症状やリスクに応じた検査が重要です。消化管の疾患は初期症状に気付きにくい場合もあるため、医師と相談のうえ検査を検討しましょう。

スコープの太さ

一般的に、大腸カメラは胃カメラよりもスコープの直径が大きいとされています。

経鼻内視鏡は鼻腔が狭いことから、経口内視鏡に比べて細く、柔らかいスコープが用いられます。また、大腸カメラでは腸管のカーブに対応できるよう、スコープの構造や操作性が改良されています。

検査にかかる時間

内視鏡検査にかかる時間は、観察範囲や前処置の内容によって異なり、一般的には大腸カメラのほうが長くなる傾向があります。

観察のみであれば数分から数十分程度ですが、鎮静剤の使用や病変の切除を行う場合は、さらに時間がかかることがあります。鎮静剤を使用した場合は、検査後に院内で一定時間休憩が必要となり、当日の車や自転車の運転が制限されます。

検査のつらさ

胃カメラと大腸カメラでは、つらさを感じる原因が異なりますが、いずれも炭酸ガスを注入することで腹部の張りを感じる場合があります。

炭酸ガスは体内への吸収が早く、検査後の不快感を軽減するために使用されます。胃カメラでは喉にスコープが触れることで嘔吐反射が起こることがあり、大腸カメラでは腸管が引き伸ばされることで痛みを感じる方もいます。検査に対する緊張や不安、羞恥心などを負担に感じる方もいるため、不安がある場合は事前に医師へ相談しましょう。

内視鏡検査の推奨頻度

内視鏡検査の推奨頻度について説明を受けている

内視鏡検査の適切な頻度は、症状や既往歴、家族歴などによって異なります。以下は一般的な目安として示されることの多い頻度であり、実際の検査間隔については医師の判断に従ってください。

胃カメラの推奨頻度

胃カメラの推奨頻度は以下の通りです。

条件 推奨頻度
症状・異常なし
ピロリ菌感染なし
2~3年に1回
ピロリ菌感染あり 1~2年に1回
ピロリ菌の除菌後 1~2年に1回
胃がんの家族歴あり 1~2年に1回

ピロリ菌感染がある方や除菌治療を受けた方、胃がんの家族歴がある方は、より頻繁な検査が推奨されます。ピロリ菌に感染すると、胃が慢性的に炎症を引き起こし、胃粘膜が薄くなる萎縮性胃炎を引き起こします。

萎縮性胃炎は胃がんのリスクを高めるとされており、萎縮した胃粘膜はもとに戻らないため、ピロリ菌を除菌したあとも定期的な胃カメラが必要です。また、胃がんの遺伝性は高くありませんが、家族にピロリ菌保菌者がいる場合、自身も感染している可能性が高まるため、家族歴も検査頻度が多くなる原因になります。

大腸カメラの推奨頻度

大腸カメラの推奨頻度は以下の通りです。

条件 推奨頻度
症状・異常なし 3~5年に1回
ポリープあり 1~2年に1回
ポリープの切除後 2~3年に1回
大腸がん・ポリープの家族歴あり 1~5年に1回

大腸カメラは、大腸ポリープを切除したことがある方や、大腸がん・大腸ポリープの家族歴がある方は、推奨される検査頻度が高くなります

大腸ポリープには良性で切除を必要としないものもありますが、大きくなることで悪性化するケースがあるため、ポリープがある方は短い間隔での再検査が必要になります。また大腸ポリープを切除したあとも、新たなポリープの発生や見落としなどのリスクが考えられることから、異常がない方よりも高い頻度での検査が推奨されます。

大腸がんや大腸ポリープには遺伝性があり、大腸がん・ポリープの家族歴がある場合は、症状がない場合でも1〜5年に1回の検査が推奨されます。特に、大腸に100個以上のポリープが発生する家族性大腸腺腫症(FAP)がある場合は、放置による大腸がん発症のリスクが非常に高いため、1年ごとの定期的な大腸カメラが必要です。

大腸がんの家族歴がある方は、自覚症状がない場合でも一度検査を受け、その後の適切な検査頻度について医師と相談するといいでしょう。

内視鏡検査の目的

内視鏡検査の目的について説明を受けている

内視鏡検査は、以下の目的で行われます。

  • 消化管内部の観察と病変の早期発見
  • ポリープや早期がんの切除
  • 組織採取および検査

それぞれの項目について解説します。

消化管内部の観察と病変の早期発見

内視鏡検査では、消化管の内部を直接観察することで、病変の有無を確認します。小さな病変も確認しやすいことから、必要に応じて追加検査や治療方針の検討につながります。

ポリープや早期がんの切除

内視鏡には、スネアなどの処置具を使用できる構造が備わっており、病変の状態によっては検査中に切除が行われることがあります。内視鏡による処置は、開腹手術と比べて身体への負担が少ないです。病変の内容によっては、日帰りで対応可能なケースもあります。

組織採取および検査

内視鏡で生検し採取した組織は調べられます。生検は、病変の性質や疾患の種類を評価するために行われ、治療方針を検討する際の参考となります。

内視鏡検査を受けたほうがいい人

内視鏡検査前の診察・触診の様子

以下のような症状や背景がある方では、内視鏡検査が検討されることがあります。

胃カメラの場合

以下の特徴がある方は、早めの相談が勧められます。

  • 原因不明の胃痛・吐き気・食欲不振がある
  • 胃もたれや胸やけを感じやすい
  • 喉の違和感や詰まりがある
  • よく胃酸が逆流する
  • 黒い便が出た
  • 急に体重が減少した
  • 40歳以上で一度も胃カメラを受けたことがない
  • ピロリ菌の除菌歴がある
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往歴がある
  • 胃がんの家族歴がある

胃カメラで発見される疾患のなかには、初期症状が現れにくいものもあるため、早期発見のためには症状が発現する前に対処する必要があります。

胃がんの発症リスクは50代から高まるとされていますが、なかには20代〜40代にみられやすいスキルス胃がんと呼ばれる胃がんも存在します。そのため、40代で一度も胃カメラを受けたことがない方は早めの受診を検討しましょう。

大腸カメラの場合

以下の特徴がある方は、早めの相談が勧められます。

  • 下痢と便秘を繰り返している
  • 慢性的な腹痛や腹部膨満感がある
  • 粘液便や血便がみられる
  • 便が細くなった
  • 貧血や体重減少がある
  • 40歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない
  • 便潜血検査で陽性だった
  • 大腸がんや大腸ポリープの既往歴・家族歴がある

大腸がんは初期症状がないケースが多く、症状が現れた時には既に進行している可能性があるため、胃カメラと同様に早めの検査が重要です。

大腸がんは進行が遅いがんですが、ステージ4になると急激に悪化し、5年生存率も低くなるため、既往歴や家族歴がない方でも40代で一度検査を受けることをおすすめします。

内視鏡検査の手順

内視鏡検査に使用するスコープを医師が手に持っている

胃カメラと大腸カメラでは検査の流れに違いがありますが、共通する点もあります。検査前後の注意事項については、必ず医療機関の指示に従いましょう。ここからは、それぞれの検査の手順を紹介します。

胃カメラ検査の流れ

胃カメラ検査の手順は以下の通りです。

  1. 前日はクリニックで決められた時間までに消化の良い食べ物で食事を済ませる
  2. 絶食の状態で受診する(水・お茶は可)
    ※午後から検査の場合は、5〜7時間前までに食事を済ませる
  3. 消泡剤(胃の中の泡を消す薬)を飲む
  4. 麻酔や静脈注射(鎮静剤)を行う
  5. スコープを挿入し、検査を行う
  6. クリニック内で休憩したあと、検査結果の説明を受ける
  7. 後日、再受診して生検の結果を受ける

検査前日の食事や当日の朝の食事については、検査を受けるクリニックの指示に従いましょう。

胃カメラの前日や当日は、喫煙を控えるよう指示されるケースが多いです。組織採取を行った場合、検査後2〜3日は刺激物やアルコール、コーヒーを避け、入浴は長湯にならないようにシャワーで済ませてください。

大腸カメラ検査の流れ

大腸カメラ検査の手順は以下の通りです。

  1. 前日はクリニックで決められた時間までに消化の良い食べ物で食事を済ませる。
    ※便秘気味の方は2〜3日前から食事に注意。
    ※食物繊維が多い食べ物も控える。
  2. 絶食の状態で受診する(水・お茶は可)
  3. 下剤を服用し、大腸内をきれいにする。
  4. 鎮静剤を使用する。
  5. スコープを挿入し、検査を行う。
  6. クリニック内で休憩したあと、検査結果の説明を受ける。
  7. 後日、再受診して生検の結果を受ける。

便秘の方は腸管洗浄の方法や前日までの注意事項が異なる可能性があるため、事前にクリニックの指示を仰ぎましょう。切除するポリープの数によって治療時間が異なる可能性があります。

検査後の過ごし方や気をつけるべき症状についても確認し、合併症の恐れがある場合は早急に医療機関を受診してください。

まとめ

内視鏡検査には胃カメラと大腸カメラがあり、それぞれ観察できる部位や確認できる疾患が異なります。40代で一度も内視鏡検査を受けたことがない方や、胃がん・大腸がんの家族歴がある方は、症状の有無にかかわらず、医師に相談のうえ検査を検討することが大切です。

横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニックでは、内視鏡検査をはじめ、消化器内科領域の診療や健康診断を行っています。内視鏡検査や消化器症状について気になることがある方は、お気軽にご相談ください。

記事監修者

横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック

院長・医学博士

久行 友和

横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック 院長・医学博士 久行 友和

経歴

  • 2003年3月
    昭和大学医学部卒業
    その後昭和大学横浜市北部病院消化器センターとその関連病院勤務
  • 2015年11月
    昭和大学横浜市北部病院消化器センター 講師
  • 2022年4月
    昭和大学横浜市北部病院 人間ドック室 室長兼任
  • 2023年11月
    横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック 院長

資格

  • 日本消化器内視鏡学会 学術評議員
  • 日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
  • 日本消化器内視鏡学会 指導医
  • 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
  • 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
  • 日本内科学会 認定医
  • 日本消化管学会認定 消化管専門医・指導医
  • 日本医師会 認定産業医
  • 日本大腸検査学会 評議員
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