胃カメラとバリウムはどっちが辛い?メリットやデメリット・選び方を紹介

胃がん検診を受ける際に、「胃カメラとバリウムのどちらが辛いのだろう」と悩む方は多いのではないでしょうか。胃カメラ検査は、かつては苦しい検査という印象が強くありましたが、現在では検査方法や医療技術の進歩により、受けやすくなってきています。しかし、その点は十分に知られていないのが現状です。
この記事では、胃カメラ検査と胃バリウム検査の辛さの違い、検査の方法、それぞれのメリット・デメリット、検査の選び方について解説します。どちらの検査を受けるか迷った際の参考にしてください。
胃カメラ検査とバリウム、どっちが辛い?

胃カメラ検査と胃バリウム検査の辛さについては、一概にどちらが辛いとは言い切れません。胃カメラ検査には複数の方法があり、また、感じ方には個人差があるためです。胃カメラ検査は、胃バリウム検査と比べて早期胃がんの発見につながりやすいとされています。一方で、バリウム検査が適しているケースもあります。
ただし、胃バリウム検査で異常が見つかった場合には、精密検査として胃カメラ検査が必要になることが一般的です。このような理由から、検査内容を踏まえて胃カメラ検査を案内する医療機関も少なくありません。
胃カメラ検査は3通り

胃カメラ検査の正式名称は「上部消化管内視鏡検査」です。胃カメラ検査に対して「おえっとなる」という嘔吐反射のイメージを持つ方も多いですが、現在は苦痛の軽減を考慮した方法が選択されています。主な検査方法は以下の3種類です。
- 鎮静剤なしの経口内視鏡検査
- 鎮静剤ありの経口内視鏡検査
- 鎮静剤なしの経鼻内視鏡検査
鼻からの胃カメラは苦痛が少なく鎮静剤なしでの検査でも受けやすいため、「鎮静剤ありの経鼻内視鏡検査」の検査を行う医療機関は少ないかもしれません。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
鎮静剤なしの経口内視鏡検査
鎮静なしの経口内視鏡検査では、口から内視鏡を挿入するため、舌の奥に触れて嘔吐反射が起こることがあります。
局所麻酔を行いますが、嘔吐反射が強い方では不快感を完全に抑えられない場合があります。検査中は鼻呼吸となるため、息苦しさを感じる方もいます。また、胃を観察するために空気を入れる過程でお腹の張りを感じることがあります。意識がはっきりしている中で検査が進行するため、緊張感とともにこれらの不快感を感じることがあります。
鎮静剤ありの経口内視鏡検査
鎮静ありの経口内視鏡検査は、点滴などで鎮静剤を使用し、ぼんやりとした状態で検査を受ける方法です。痛みや不快感、嘔吐反射の軽減が期待できますが、全身麻酔ではありません。検査後は安静時間が必要となり、当日の車やバイクの運転はできません。
鎮静剤なしの経鼻内視鏡検査
経鼻内視鏡検査は鼻から細い内視鏡を挿入する検査で、舌の奥に触れにくいため、嘔吐反射が起こりにくいとされています(感じ方には個人差があります)。鎮静剤を使わずに行っている医療機関が多く、鼻腔には表面麻酔を行うため、挿入時の痛みは軽減されます。
小さな鼻の穴に挿入される内視鏡は直径約6mm程度と細いですが、現在は性能が向上しており、機能的には経口内視鏡と大差はありません。
胃バリウム検査は健診で行われる

胃バリウム検査の正式名称は「上部消化管造影検査」です。健康診断や胃がん検診で広く行われています。胃バリウム検査について、辛さも踏まえて紹介します。
胃バリウム検査の方法
胃バリウム検査は、バリウムと発泡剤を服用し、レントゲン撮影によって胃の形や粘膜の状態を確認します。検査中は体位を変えながら、指示に従って撮影を行います。
バリウムはレントゲン吸収が良い(レントゲンに写りやすい)ため、食道や胃内部をコーティングすることで粘膜の凹凸を写し出します。まず少量のバリウムで顆粒の発泡剤(レントゲン吸収が悪いため写りにくい)を飲んで胃を膨らませ、残りのバリウムを指示に従って飲みます。
胃の内側をバリウムでコーティングするように撮影台の上で右回りに回転すると撮影準備完了です。息を吸う・吐く・止める、右腰や左腰を上げる、うつ伏せになるなど、検査者の指示に従って動きながら、胃をさまざまな角度から撮影します。
胃バリウム検査の辛さ
胃バリウム検査は、主に以下の点で不快感を感じることがあります。
- 発泡剤による腹部膨満感とげっぷの我慢
- バリウムの飲みにくさ
- 検査後の便秘や腹部不快感
胃バリウム検査では発泡剤で胃を膨らませるためげっぷをしたくなりますが、検査が終わるまで我慢します。排泄を促すために下剤が処方され、水分摂取が必要です。胃カメラは怖いという理由で胃バリウム検査を選ぶ方は少なくありませんが、上記のように苦痛を感じる部分がないわけではありません。
また、体勢を変えられない理由がある方や高齢の方などは、胃バリウム検査を受けられません。
健診で行われる理由
胃バリウム検査は、短時間で実施でき、多人数を対象とした健診に適しているという特徴があります。ただし、異常が疑われた場合には、精密検査として胃カメラ検査が必要になります。
胃バリウム検査は確定診断ができる検査ではなく、健診で行われる場合はふるい分けが目的のため、異常が発見された場合は精密検査を受け、診断・治療へとつなげましょう。
胃カメラとバリウムのメリットとデメリット

胃カメラ検査と胃バリウム検査のどちらを受けるかを考えるとき、辛さだけではなく、メリットやデメリットなども知る必要があるでしょう。胃カメラ検査と胃バリウム検査のメリットとデメリットを比較してみましょう。
| 検査 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 胃カメラ | 鎮静なし | 喉の観察時に発声できるため見やすい部分がある | 咽頭反射が強い方は検査が辛い |
| 鎮静あり | 嘔吐反射や不安感、苦痛を軽減できる | 術後休むため帰宅が遅くなる | |
| 経鼻 | 喉の観察がしやすい | 鉗子口が細く、通らない道具がある | |
| 胃バリウム |
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以下から、それぞれのメリットとデメリットについて詳しく紹介します。
胃カメラ検査の特徴
胃カメラ検査全体のメリットとしては以下があります。
- 小さな病変の観察が可能
- 必要に応じて組織検査を行える
- 食道・胃を直接観察できる
胃カメラの先にはカメラの他に組織を採取する処置具が内蔵されています。そのため、病変を発見した際は組織を採取して病理検査を行うことも可能です。なお、胃カメラは検査方法によって、苦痛や検査後の制限が異なります。以下から、検査の種類別にメリットとデメリットを紹介します。
鎮静なしの経口胃カメラで受ける場合
鎮静なしで経口胃カメラ検査を受ける場合、意識がはっきりしているため意思疎通を図ることが可能で、咽頭や喉頭を観察する際に発声してもらえると観察がしやすくなります。嘔吐反射が強くなく鎮静なしでも検査が受けられる方もおり、その場合は鎮静剤の投与や覚醒に時間を要さないため、検査時間の短縮が可能です。
鎮静ありの経口胃カメラで受ける場合
鎮静ありで経口胃カメラ検査を受ける場合、嘔吐反射が抑えられることで胃への送気が十分にできるため、胃をしっかりと広げて観察することが可能です。また、患者さんがウトウトしてリラックスした状態のため、検査をする医師にも余裕が生まれて、観察や処置が行いやすくなる傾向にあります。
ただし、鎮静剤が効くまでの間や覚醒まで安静にする・乗り物の運転ができないなど、鎮静なしに比べて時間がかかる点はデメリットです。
(鎮静なしの)経鼻内視鏡の場合
経鼻内視鏡の場合、多くは鎮静剤なしで苦痛を軽減して検査できるため意識がはっきりしており、医師や看護師と会話をしたり、モニターで本人も一緒に胃の中を見たりすることも可能です。鎮静剤を使用しないため、検査終了後も運転して帰宅でき、時間も経口ほどかかりません。
ただし、舌根に触れないため嘔吐反射は起こりにくいですが、全く反射がなくなるわけではなく、中には鼻の痛みを強く感じる方もいます。他にも、カメラが細く内蔵する処置具が多くないため、経口胃カメラに比べると行える処置に限りがあります。
胃バリウム検査の特徴
胃バリウム検査のメリットは、以下の通りです。
- 胃全体の形を把握しやすい
- 比較的短時間で実施できる
特に胃バリウム検査が得意とするのは全体の把握です。病変が胃のどの辺にあるのか、胃の形に異変がないかなどを知ることが可能です。この特徴を活かして手術前に胃バリウム検査をすることもあります。一方で、早期病変の発見には限界があり、放射線被ばくや排泄トラブルのリスクもあります。
平たくできたがんや胃粘膜の色などは分からず、レントゲン検査のため被曝のリスクもあります。排泄のトラブルとして、腸閉塞や腸穿孔などを稀に引き起こす恐れがあるため、下剤を必ず使用する、水分を多めにとるなどの注意が必要です。
胃カメラ検査と胃バリウム検査の選び方

ここまで胃バリウム検査と胃カメラ検査の3種類について紹介してきましたが、ここでは、それぞれの検査がどのような方に適しているのかを紹介します。
- 胃バリウム検査:健診で異常の有無を確認したい方
- 鎮静あり経口胃カメラ:嘔吐反射が強い方、精密検査が必要な方
- 鎮静なし経口胃カメラ:検査後の回復を優先したい方
- 経鼻胃カメラ:会話しながら検査を受けたい方
以上の中で辛さだけを見た場合、苦痛が少なくて受けやすい検査は鎮静ありの経口胃カメラでしょう。ぼんやりしていたり寝ていたりしているうちに終わってしまうため、辛さは軽減できるといえます。検査の選択は、症状、過去の検査経験、検査目的などを踏まえて検討することが大切です。
まとめ
胃バリウム検査は主に健診で行われる検査であり、異常が疑われた場合には胃カメラ検査による精密検査が必要となります。
現在では、鎮静剤の使用などにより、胃カメラ検査の負担軽減が図られています。横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニックでは、医師の診察のもと、症状や希望を踏まえて検査方法を案内しています。胃カメラ検査と胃バリウム検査の選択でお悩みの方は、一度医療機関にご相談ください。
記事監修者
横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック
院長・医学博士
久行 友和

経歴
- 2003年3月
昭和大学医学部卒業
その後昭和大学横浜市北部病院消化器センターとその関連病院勤務 - 2015年11月
昭和大学横浜市北部病院消化器センター 講師 - 2022年4月
昭和大学横浜市北部病院 人間ドック室 室長兼任 - 2023年11月
横浜駅前ひさゆき消化器内科・内視鏡クリニック 院長
資格
- 日本消化器内視鏡学会 学術評議員
- 日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
- 日本消化器内視鏡学会 指導医
- 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
- 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
- 日本内科学会 認定医
- 日本消化管学会認定 消化管専門医・指導医
- 日本医師会 認定産業医
- 日本大腸検査学会 評議員